2020-09-13
コラム
音楽評2_CITYの開祖はそれほどCITYじゃない?
日本のポップスに初めて"シティ"という概念をもちこんだのは、はっぴいえんど ではないかと思います。1972年の正式解散の翌年に出たベストアルバムのタイトルが"CITY"。田舎の畦道や路面電車といった牧歌的でノスタルジックな主題を好んだ彼らが、より高い音楽性に目覚め、特に大瀧、細野のその後のソロとしての展望も見えて来たところで彼らの視野にあったのが都会の風景だったのでしょう。とはいっても大瀧、細野のソロ作品で、たとえば"神"山下達郎のようにド・ストライクでシティポップな曲はそんなに多くないです。大瀧はサイケっぽかった はっぴいえんど から時代を逆行するようにオールディーズに傾倒しつつ音頭の研究やコミックソング創りに没頭。細野はほどなくエキゾチックを経てテクノになってしまいましたから。大瀧作品でシティっぽいなぁと感じるのは"Water Color" (ナイアガラトライアングル2)、"雨のウェンズディ"(A LONG VACATION) といったちょっとアンニュイでスローな曲くらいでしょうか。細野作品ではトロピカルダンディというアルバムの"ハリーケーンドロシー"、"熱帯夜"かな?でもすでに呪術的な黒い世界が口を開き始めている。