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2023-12-16

コラム

ア(ミュ)ー(ズメン)ト!?

一昨年11月ふと思い立って京成本線に飛び乗って上野へ。向かったのは、終了まであと5日と迫っていた写真家蜷川実花さんの展覧会。
綺麗だった。綺麗だったけど、期待したほど”溢れる怒涛の色彩に圧倒され・・・”とまではならなかった。意外に。いろんなことが気になってしまって。期待が大きすぎたのかもしれない。おなじみ花や金魚の鮮やかな作品群も回顧展のように思えたし、もっともっと冴えた色にプリントできたんじゃないの?という職業柄から来る悲しい”さが”も手伝って、なんだか蜷川実花の作品を観に行くというよりも、蜷川実花という”アイコン”の存在を確認しに行っただけって感じだった。
 だけど、僕を冷めさせた多分もっと大きな要因は、スマホ!!! 最近の多くの展覧会同様こちらも、一部女優さんのポートレートを除いては撮影OKだったので、展示を観ること=パシャパシャやってるギャラリーを見ることになるわけなのだ。(かくいう僕もパシャパシャやってはSNSにアップしてる目障りな風景の一部だったわけだけど。)そして彼ら(おもに彼女ら)が友達のピースサインなんかと一緒に「私こんなおしゃれなとこに行ったのよー!」と言いたくてインスタにアップする、作品の”縮小再生産”を想像すると、元の作品自体の価値まで縮小してゆくような。拡散させて、ただで宣伝してもらおうという主宰者のさもしい思惑の代償がこれな訳だけど、、、これではシンデレラ城やパンケーキと同じ。アートというよりはアミューズメントではないか!
 アートのアミューズメント化。これはこの展覧会に限ったことではなく、最近のとくにSNS出現後の傾向のようだ。アートはもっと高尚であってほしいと願う僕の方がアタマが固いのか?きっとアートの存在意義自体ひとつの変革期を迎えていて、アートが市場としてより広い層に受け入れられ生き残っていくには良い方向なのかもしれないが、そうなることでアートが失っていくものもきっと多い。そんな気がする。

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