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2023-11-21

コラム

憂国

経済評論家三橋貴明氏の講演を聞いた。
彼の論説は好きで、YouTubeの動画で何度か見ていた。
氏は、子供でもわかるだろうというくらい分かりやすく、ユーモアを交え話をしてくれた。
 その話は、目から鱗というよりは、忘れていたことを思い出させてくれたという方が近いかもしれない。
「景気が悪くなったら公共事業によって雇用を創出する」それは、小学校の教科書に書いてあったような初歩的なことである。
そんなことも理解しようとしない”先生方”が国を動かしている、それが今の日本なのだ!解説のグラフによると、事実、橋本龍太郎政権下の1997年以降公共事業への出資は激減しており、そこを境に日本のGDPの成長はパタリととまっている。道や橋は老朽化し、世界最大級のコンテナ船を作れるのは日本だけであるにもかかわらず、その船が入れる深さの港は日本にはたった一つだけというほとんど笑い話。
 誰かが何かを売って利益を得れば、買った人の財布からその分お金が減る。これもまた子供でもわかる当然のことである。国と国民の間にも同じ関係は成り立つ。インフラ整備など公共事業は国が当然国民に益をもたらすために行われるもので、そこから国が利益を得ようとすれば、それは即ち国民にとっての不利益となる。つまり国の事業は常に"赤字"であるべきだということだ。
 このところ、大阪万博の建設費用が当初の予算よりもはるかに大きくなっていると報じられており、このことをテレビのニュースなどで「国民の負担増」と表現するが、これにも偏りがあると感じる。国がお金をケチるのを正当化しているようなものだ。
 国がお金を使うとは、税金や国債で得たお金が民間に還元されることであり、私や読者の皆さんのフトコロが直接膨らむわけではないが、やがて利益は循環し消費は増え、景気は上向くだろう。
 公共事業受注をめぐって談合や贈賄が行われず、ゼネコンが内部留保せず従業員や外注業者にちゃんと分配し、支出増大を口実に財務省が増税を言い出さなければ、だが。

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