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2023-08-14

コラム

燃え尽きた行間

笑いコンビ千鳥のノブ氏。
島谷ひとみさんの歌を「"ボーカロイド"みたいで染みない」。
(『千鳥の鬼レンチャン』フジテレビ系、昨年7月)
櫻坂46の守屋麗奈さんに対して、グループ名を別の"坂道"と間違え、守屋さんが訂正すると、「いっぱいの女子が歌うやつね」。(『ラヴィット!』TBS系、今年4月)
これらの発言で、それぞれボカロファンのオタクや、アイドルファンから反感を買いネット上で炎上したのだそう。
これを受け僕の感想としては、まず、ここ2~30年日本の国語教育は何を教えてきたんだ? である。「行間を読む」という概念は学習指導要領から削除されたのか?
僕の受け止め方は、ノブ氏は、オタクやアイドルを標的にしているのではなく、流行に疎いオジンたちのほうを、敢えて自ら演じることによってからかい、自嘲を交えて、笑いの対象にしているのだと思う。("アイドルがみんなおんなじ顔に見える"という自虐は昭和時代からオジンの鉄板ネタである)。
島谷ひとみ=ボーカロイドの件に関して言えば、音程が正確すぎて機械のようだ、と実は褒めたいところをそこは芸人のプライド、一種の照れ隠しとして笑いに持ち込もうとしたのではないかともとれないだろうか?
そう考えると、ビートたけしの「赤信号みんなで渡れば怖くない」というネタで国民が笑いを共有できていた時代の方が文化的に思想的に豊かだったなぁと思う。
今の時代の芸人さんの口から初めて発せられたのであればおそらく、液晶画面の中で一夜のうちに燃え尽きてしまったであろうこのネタは、交通法規違反を推奨するものでないのはもちろんのこと、ルールを平気で破る人、そして他人と同じであれば安心してなんでもできる日本人の気質を自嘲気味に揶揄しているのであり、自己肯定と自己否定を幾重にも繰り返した上に、”言ってはならないことを敢えて言ってみせるイタズラごごろ”というお砂糖のコーティングがなされた、十分に成熟したな言葉遊びと言えたと思う。
それにひきかえ、ネットでの批判投稿によって炎上を引き起こす人たちは、読んだまま、聞いたままの言葉ヅラをストレートに受け止め、その点のみの判断で、ほぼ直情的に脳からの電気信号によって両手の親指を動かすほかに能がなく、「行間を読む」とは真逆の座標軸に立つ種類の人たちなんだろうと、アラ還デザイナーの私は想像してしまうのだった。

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